入居施設などで働く介護職の業務は、要支援・要介護者の介助をすることである。しかしながら、利用者が通うデイサービス施設などでは、車を運転して利用者の送迎を行う必要があることも多い。こうした場合には、運転手を雇用して車の運転を任せるのが原則である。しかしながら、財源不足の福祉施設において運転手の人件費まで捻出するほど余裕のあるところは少ない。そこで、介護職が車を運転して利用者の送迎に当たることになる。
介護職は、運転だけでなく多くの場合に利用者の乗降の介助も行わなければならない。その際、送迎車を路上に駐車したまま、公道から外れた細い道の奥にある利用者の自宅まで車椅子を押して送り届けなければならないというような事態もありうる。こうした時に駐車禁止違反の罰則を受けてしまうリスクは避けられない。介護職が事業所の車を運転するという職務遂行中の違反であるから、反則金等の支払い義務は使用者にあると言える。しかし、現場の介護職が反則金支払いを行う場合が珍しくないのだ。
また、毎日の送迎業務の中では交通事故を起こす危険性も大きい。特に利用者が死傷した場合の責任は重いため、運転中の緊張感は高く介護職は運転だけでも疲弊してしまう。そこで、送迎には必ず添乗者を付けて周囲の注意を払い事故を防ぐ努力を怠らず、運転者の精神的負担を減らさなければならない。駐車中も車内にスタッフを残し、違反による反則金を回避する工夫が必要だ。また、万一罰則の対象となったとしても運転したスタッフだけに弁済させるのではなく、事業者も責任を分担するシステムが欠かせない。運転の際に注意すべきポイントは、《介護職で運転免許が役に立つってホント?》も読んでみるといいだろう。